「Powerslide」を知ってますか?
インラインスケートのブーツを買おうとした時、RollerbladeやK2、スラロームに興味がある人はSebaskatesというメーカー名も目にしたことがあるかと思います。
しかし、Powerslideはどうでしょうか?
残念ながらインラインスケート歴が長い人でも、ドイツのメーカーという以外、特にこれと言った特徴が思い浮かばないかと思います。
特徴がないどころか、初めてフリースケート用として作られたCellシリーズは柔らかすぎて、その後にスラローム用として作られたHardcoreは硬すぎて、日本では一般受けしませんでした。
しかしながら、Powerslide社の創立にはスピードスケーターが関わっていたこともあり、長年スピードスケートに力を入れてきました。そのため、素材の品質や精度の高さが求められるフレームに関しては以前から評価が高く、一部のスラローマーの間では人気でした。また、スピードブーツで培われたカーボンブーツの技術を、アグレッシブなどの他ジャンルに横展開していきました。
そして2015年頃からブーツの履き心地も変わってきて、柔らかすぎることも硬すぎることもなくなってきました。多くの人が長時間履いて滑っていても苦痛にならない履き心地になったのです。
例えばハードブーツのImperialシリーズは、シェルの硬さがちょうど良く、インナーブーツは熱成形でき、一部のモデルを除いてフレームの接合部は金属パーツが埋め込まれています。それなのに価格は3万円程度と、コストパフォーマンスがとてもいいブーツです。このような品質の改良がいろいろなブーツに波及してきています。
新しいスタイルの提案
Powerslideは毎年、ただ新モデルを発売するだけでなく、新しいスタイルの提案も行ってきました。
Powerblading
2012年にPowerbladingと名付けて、アグレッシブブーツに72mm以上のウィールを装着して楽しむ、フリースケートとアグレッシブを融合したジャンルを提唱し始めました。同時にPowerblading用のフレームやウィールをグループブランドのKizerやUndercoverから発売しました。
Triskate
2015年から少しずつ3輪ブーツを発売していましたが、2017年からはTriskateと命名し、販売する商品点数を増やしました。特にフィットネスの分野で、スピードスケート用より短いフレームに、100mm〜125mmの大きなウィールを3つ取り付け、より速くより楽しく滑ることを提案しています。
2018年におけるPowerslideの商品構成は、このTriskateの占める割合が90%に及ぶのではないかというくらい、大プッシュしています。
Trinity
2016年、Trinityシステムという新しい規格のブーツを販売開始しました。これはフレームとブーツのマウントスロットを従来の前後2か所ではなく、前2か所と後ろ1か所の3か所にした新しい規格です。
このTrinityシステムの主な利点は、従来のフレームより高さを低く抑えたことよる安定性と操作性の向上、固定ポイントが増えたことによる力の伝達の向上です。
2016年登場時は2モデルだったTrinityブーツですが、2018年にはフィットネス、スピード、ホッケー、アーバンの4ジャンルで合計45モデルが発売予定となっています。
現在とこれから
今までPowerslideやそのグループブランドの商品は、限られた専門店やネットショップでしか見掛けることができませんでした。
しかし近年のPowerslideの商品開発の勢いに乗ったわけではないと思いますが、2017年から日本国内でも取り扱い量が増えました。インラインスケート取扱店や大手スポーツ用品店のヴィクトリアなどでも、Powerslideのブーツが販売され始めたのです。2018年以降もこの流れは続くと思います。
Powerslideは現在、いろいろなスケート関連のブランドを束ねるグループ会社になっています。
その中でインラインスケートに関連している主なブランドだけも、次の10ブランドあります。
- Powerslide(フィットネス、スピード、アーバン全般)
- USD(アグレッシブ用ブーツ)
- Gawds(アグレッシブ用ブーツ、ウィール)
- Kizer(アグレッシブ用フレーム)
- Undercover(アグレッシブ用ウィール、アーバン用ウィール)
- Matter(スピード用ウィール)
- Reign(ホッケー用ブーツ)
- Prime(ホッケー用ウィール)
- Wicked(ベアリング)
- Ennui(プロテクター)
そしてこれらのブランドをまたいで技術が共有されているようです。USDのアグレッシブブーツにカーボンが使用されたり、UndercoverのウィールがMatterの米国工場で作られるようになったり、PowerslideとUSDでインナーブーツやカフを共通化する、などです。ある年からPowerslideのフィットネス系やアーバン系ブーツの履き心地が良くなったのも、こういった技術の共有の影響があるのかも知れません。
このように近年ブーツの品質が向上し、Trinityの有用性が認められてきているPowerslideは、取り扱い店舗の増加と共に、今後国内でも少しずつユーザーを増やしていくと思われます。
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